当院の婦人科手術

 当院では卵巣嚢腫や子宮筋腫などの婦人科良性腫瘍、骨盤臓器脱、子宮頸癌・体癌、卵巣癌に対して幅広く手術療法を行っております。
 手術のアプローチ法には内視鏡手術(腹腔鏡手術と子宮鏡手術)・腟式手術・開腹手術が挙げられますが、疾患の特性に合わせて決定しております。内視鏡手術は体への侵襲が少なく、早期退院が目指せるので当院では良性疾患に対して積極的に取り組んでおり、年間約250件行っております。悪性が疑われる場合や巨大又は多発子宮筋腫の場合は開腹手術が望ましいこともあり、詳細はご受診の際に相談となります。

当院での腹腔鏡手術

 腹腔鏡手術とは、腹部に5~12mm程度の小さな切開を2~4ヶ所ほど入れてカメラと鉗子と言われる器械を挿入して手術を行う方法です。お腹の中で行う操作は従来の開腹手術と同様のものになります。
 お腹の傷が小さいため、①低侵襲で痛みが少ない、美容面で優れる、②入院期間が短い、社会復帰が早い、③術後の癒着が少ない、等の利点があります。
 従来の開腹手術と当院で行っている一般的な腹腔鏡手術の傷のイラストを以下に示します。より適切な手術を行うために病気の種類や病変の大きさによって、傷の位置・数・大きさは変わることがあります。

主な婦人科疾患と手術項目

卵巣腫瘍

 卵巣とは、子宮の左右にある親指大の臓器であり、病的に腫大したものを卵巣腫瘍(良性のものは卵巣嚢腫とも表現します)と言います。水のような液体・粘液・脂肪など貯留するものは多様です。
 妊娠希望など卵巣機能温存を優先する場合は卵巣嚢腫摘出術(正常卵巣部分を温存)、完全切除の場合は付属器切除(卵巣・卵管の切除)を行います。通常は腹腔鏡手術で行いますが、悪性を疑う場合は開腹手術となります。

子宮筋腫

 子宮筋腫は30歳以上の女性の20~30%にみられる良性腫瘍です。図のように発生する部位と大きさによって、無症状・月経量の増加・月経痛など症状は様々です。治療法はホルモン療法・手術・子宮動脈塞栓術があります。
 手術は、今後妊娠を希望される場合は子宮筋腫核出術(筋腫のみを核出して子宮を温存)、再発なく根治療法を希望される場合は子宮全摘術を行います。基本的に腹腔鏡手術で行っていますが、巨大又は多発筋腫の場合は開腹手術が望ましいことがあります。また粘膜下筋腫に対する子宮鏡手術も行っております。

子宮内膜症

 子宮内膜症とは、子宮内膜又はそれに似た組織が何らかの原因で子宮や卵巣周囲に発生して炎症や癒着を起こす病気です。特に卵巣内で大きくなるものはチョコレート嚢腫と呼ばれます。症状は主に月経痛ですが、進行すると慢性的な骨盤痛、不妊症が起こります。治療法はピルなどのホルモン療法と手術になります。
 手術はチョコレート嚢腫の切除や卵巣周囲の腹膜病変切除を行いますが、再発しやすいため、ホルモン療法との組み合わせが重要となります。また稀ですが癌化することもあるため、長期的な経過観察も大事です。

子宮脱(骨盤臓器脱)

 子宮は通常骨盤の中にある臓器ですが、出産や加齢によって骨盤底の筋肉が弱くなると、腟を通して下降します。膀胱や直腸も一緒に下がることもあり、不快感や排尿・排便障害の原因となります(軽症も含めると、閉経後の約半数にみられるとの報告もあります)。
 治療法としてはペッサリーという器具を腟内に留置する保存的方法、手術があります。手術は従来型の腟式手術、再発率が低いメッシュ固定術(腹腔鏡下仙骨腟固定術)を行っており、症状を改善させます。

子宮内膜ポリープ・子宮粘膜下筋腫

 子宮内膜ポリープ・子宮粘膜下筋腫は子宮の内腔に発生する良性腫瘍です。不正出血・過多月経・不妊の原因となることがあります。治療法としては主に子宮鏡手術を行っております。
 子宮鏡手術とは、全身麻酔下で内診の姿勢から電気メスのついたスコープを子宮内に入れて病変部を切除する手術で、お腹に傷がつかないという利点があります。通常30~60分以内で終わりますので2~3日の入院管理で行っております。

手術実績 2023年(1-12月)

手術件数
婦人科開腹手術(同一症例での重複含む)子宮悪性手術10
卵巣悪性手術5
子宮良性手術37
卵巣良性手術23
その他0
婦人科腹腔鏡手術(同一症例での重複含む)子宮全摘術27
子宮筋腫核出術17
良性卵巣腫瘍47
子宮内膜症手術23
その他11
婦人科子宮鏡手術子宮内膜ポリープ切除61
粘膜下筋腫核出術17
婦人科腟式手術子宮脱手術13
子宮頸部円錐切除術21
産科手術帝王切開術125
頸管縫縮術23
その他70
  • 子宮頸部切除術(円錘切除術)は、子宮頸部上皮円腫瘍(上皮内癌、高度異形成)に対する手術です。
    当院では、子宮頸部異形成又は上皮内癌に対するレーザー照射治療は実施しておりません。
  • 産婦人科では悪性腫瘍手術に対する腹腔鏡下手術は行なっておりません。

手術料金

治療名料金
流産手術(~11週まで)日帰り:3~6万円
1泊2日:5~10万円
流産手術(12~21週まで)2泊3日:32~40万円
子宮頚管縫縮術(シロッカー)5泊6日:7~9万円
子宮頚部(腟部)切除術(円錐切除)1泊2日:4~7万円
子宮内膜ポリープ切除術1泊2日:6~11万円
2泊3日:6~13万円
子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切除術1泊2日:6~11万円
2泊3日:6~13万円
腹腔鏡(卵巣腫瘍)
※子宮付属器腫瘍摘出術(両側)
約20~23万円
腹腔鏡(子宮筋腫摘出)
※腹腔鏡下子宮筋腫摘出(核出)術
約28~30万円
腹腔鏡(子宮全摘)
※腹腔鏡下腟式子宮全摘術
約28~30万円

・健康保険3割負担の概算です。
・オペの手技や麻酔の種類、入院期間によっては上記の金額よりも高額になることもあります。
・限度額適用認定証を事前に取得いただくことをおすすめしております。

入院中の生活

食事

朝食7:40頃 昼食12:00頃 夕食18:00頃

  • 検査や治療で食事を遅らせる場合は「絶食」扱いになります。検査後に食事を依頼される場合は、看護師に申し出てください。
    検査後食は、「パン・牛乳・果物」となりますのでご了承ください。
  • 小児科などで提供させていただく午後3時の「おやつ」は夕食を提供する患者さまを対象とさせていただきます。
  • 治療食を召し上がっていただいております。持ち込みを希望される場合は、医師、看護師にご相談ください。
  • 入院中、患者さま同士の食べ物のおすそわけ、出前による食事・差し入れ等はご遠慮ください。

洗濯

各病棟のコインランドリーをご利用いただくか、ご自宅にお持ち帰りください。

外出・外泊

主治医の許可が必要です。医師・看護師にお申し出ください。

シャワー

  • 医師・看護師の許可が出た場合はシャワーをご利用いただけます。
  • 場所と時間については、入院時にご案内致します。
  • ご利用時は、所在確認のため、必ず担当看護師に伝えてください。
  • ご利用前に必ずナースコールの位置をご確認ください。

消灯時間

22:00消灯
(テレビも22:00を過ぎると電源が切れます)

喫煙について

病院の敷地内は全面禁煙です。
入院療養中の患者さまおよびご家族・ご面会の方は、病院敷地内での喫煙をご遠慮ください。