必要な人に届いていますか?―「特別障害者手当」

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◇健康のいずみ2021年11月5日付575号より

 「特別障害者手当」をご存じでしょうか?重度の認知症、要介護4・5の認定を受けている方、重度障がい者の方では、月額7万7千円の受給を受けられる可能性があります。より多くの方に知っていただき幅広い利用につながるように、制度の概要、利用者の声を紹介します。

 立川市在住のAさんは、71歳のときに脳梗塞で倒れた夫Mさんの介護を続けて9年になります。Mさんは最初の入院直後は片足を引きずりながらも歩行可能でしたが、昨年肝臓がんも発見され、80歳の現在は寝たきり状態です。医師と相談を重ね、胃ろうも導入しました。その後、容態は安定し、Mさんが一番安心できる自宅での療養をと、今年6月の退院に向けて準備を始めました。そのタイミングでAさんが知ったのが「特別障害者手当」の存在でした。

 「特別障害者手当」とは、精神または身体に重い障がいがあり、日常生活に常時、特別な介護を必要とする20歳以上(年齢上限はなし)の自宅療養中の方を対象に、月2万7千円が支給される国の制度です(表)。

 重度障がい者の所得保障として、1986年から施行されています。自宅のほか、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅などの方も対象となります。
 前述のAさんは「赤旗」日曜版の記事をきっかけにこの制度を知り、退院が近づいた5月に、市役所で申請用紙を受け取り、医師の診断書を添えて申請手続きを始めました(図)。申請はスムーズに進み、申請翌月の7月から支給が始まりました。申請から支給までが迅速であることもこの制度の特徴の一つです。
 「年金だけでは生活すら難しい今、経済的負担も大きい介護生活にとって、毎月2万7千円の支給はとても大きい。この制度の特徴は、身体障害者手帳を持たない方でも申請でき、診断書は臨床医ならば誰でも書くことができるという、利用しやすさにある。必要とするより多くの人に、この制度を知ってほしい」とAさんは話します。